Lightflow structure

 

●風の動きを可視化する光

この試みは自然環境やそこでの人の生活を光の変化として可視化するプロジェクトです。風と人の流れに着目し、草木が風に揺られて眼で風を感じられる様に風の動きを光の変化として表現し、通行する鑑賞者が作品に触れることで人の行為も光の変化とします。
従来光源には無いLEDのデジタルテクノロジーに対する親和性の高さと色彩表現力を活用するため、電子工学的なエンジニアリングを融合した作品制作手法により、風速や風向等の環境変化や通行人等の作品への参加を角度センサーを用い色彩変化に変換するLED装置を制作します。
この装置を人通りのある展示エリアに複数設置し、周辺の風や人の流れを光により可視化することで、鑑賞者に展示空間である場への意識と体験を促します。屋外特有の環境変化を作品表現に取り込み、鑑賞者が体験できるプロジェクトとすることでLEDによって開かれた光と色彩の新たな可能性を提示します。

lightflowstructuremove

作品インスタレーションでは展示エリア周辺に起こる風や人の流れを可視化するために複数のLED装置を設置します。
各装置は棒状のフルカラーLEDを連結した形状をしており、天秤の様にバランスをとった棒状LEDは風が吹き抜けることや人が触れながら通行することで、揺れるように傾きと色彩を変化させ発光します。この光の変化は傾きの方向・角度に対応して決められた色彩に発光するため、東風は青色、西風は黄色、風が強いと明るくなる、といった様に風を可視化します。また人が触れることによる装置の変化も同様に光に変換されるため、鑑賞者がどのように触れたのかを可視化します。
各装置よって生み出される個別の光の変化は複数集まることにより、展示エリアの持つ場の特性を光として表現することになります。これにより展示エリア内で参加するだけではなく、風景として遠方から眺める際も風と人の流れを感じることができます。

● LED装置の構造・しくみ

lightflowstructureunit
棒状LEDユニットの筐体部はアルミフレームとアクリルで構成され軽量化されています。各LEDユニットはアルミフレーム部から突き出した軸とボールベアリングの軸受により低摩擦で回転可能に連結されます。
またLED発光部の重さに釣り合う重心調整用おもりをアルミフレーム部に内蔵しており、重さを緻密に調整することで天秤の様に釣り合うバランスとそれに伴う心地よい揺らぎ方と手応えを決定しています。これにより風の力や参加者が触れることで揺れるように可動可能としています。
棒状LEDユニットはこの天秤のように揺らぐ動きを下部フレームに内蔵する三軸加速度センサー(角度センサー)によりセンシングしLEDによる色彩光出力を制御しています。色彩光は独自アルゴリズムを用いて棒状LEDユニットの回転を色相変化、転倒を明るさの変化に対応づけ制御されています。これにより風の力や触れることにより光源の位置と色彩光を同時に変化させることを可能としています。

●出展・展示
徳島LEDアートフェスティバル2013